~移動風景に、彩りを。~ 東京メトロの車内広告に込めた、コーセーの想い。 2026.04.28

通勤や通学、お出かけの際に利用する東京メトロの車内。ふとドア上のモニターを見上げると、トレンドのメイクアップや季節に合わせたスキンケア方法を紹介する動画が流れている―。そんな日常のワンシーンに、心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、コーセーが展開している交通広告「KOSÉ Beauty Days」というコンテンツで、東京メトロで車内映像メディアがスタートしたころから続けているものです。
今回は、この映像広告がどのように生まれ、どんなこだわりを持って制作しているのか、立ち上げメンバーである丸山悦史と、現担当の大竹理香子、小居彩香に話を聞きました。宣伝のプロフェッショナルたちの裏側に迫ります。
※「KOSÉ Beauty Days」YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@kosebeautydays

写真左から

㈱コーセー コンシューマーブランド事業部 事業推進室宣伝企画課 丸山 悦史(まるやま えつし)
東京都出身。1993年コーセーに入社。宣伝部や経営企画部、総務部などを歴任し、宣伝戦略の立案や新規事業創出プログラムの運営、ベンチャー企業のアセット利活用の検討、総務領域のDX推進に従事。
同 コーポレートコミュニケーション部 宣伝戦略室 メディア統括課 大竹 理香子(おおたけ りかこ)
東京都出身。2018年コーセーに入社。ドラッグストア・GMSの営業を担当し、23年から現部署。東京メトロビジョン広告の他、フィギュアスケート協賛やKOSÉ SPORTS BEAUTY(スポーツオウンドサイト)の運営に従事。
同 コーポレートコミュニケーション部 宣伝戦略室 メディア統括課 小居 彩香(こい あやか)
大阪府出身。2019年コーセーに入社。営業としてドラッグストア窓口を2拠点歴任し、25年から現部署。東京メトロビジョン広告やKOSÉ 8ROCKSのチーム運営など、企業認知度向上に向けた活動に従事。

 

「企業イメージをもっと知ってほしい」 0から1を生み出した開拓精神

―そもそもなぜ東京メトロの車内映像メディア「東京メトロビジョン」で広告をスタートしようと思ったのか、経緯を教えてください。

丸山  「東京メトロビジョン」での広告展開をスタートさせたのは、2012年4月です。その頃私は宣伝部で、インターネットと交通媒体の広告を担当していました。当時の交通広告といえば、駅のポスターや電車内の中吊り広告などが主流だったのですが、それらだけでは「点での展開」しかできていないという課題感を感じていました。何か新しいネットワークを使って、面での広告展開にトライしてみたい。そう模索していた頃、東京メトロ側では一部車両で導入済みだったドア上モニター(東京メトロビジョン)の新たな活用法を検討していました。最初は純粋に当社のCMを配信する、という提案をいただいたのですが、ただCMを流すだけというのはもったいないと感じ、「東京メトロオリジナルの映像コンテンツを配信するのはどうか」と逆提案したのがはじまりです。

―CMではなく、東京メトロオリジナルの映像コンテンツを作ろうと思ったのはなぜですか?

丸山  大きな理由の一つは、「コーセーの企業イメージをもっと知ってほしい」という想いがあったからです。化粧品会社はタレントやモデルを起用した広告を多く展開するため、どうしても企業そのものというより「○○というモデルを起用しているブランド」として認知されることが多いんですよね。もちろんそれは素晴らしいことなのですが、一方で、最先端の皮膚科学をコツコツ研究する、高品質な商品を提供するためにモノづくりにこだわり抜く、といった“コーセーの企業姿勢”が、世の中にあまり伝わっていないというもどかしさがありました。特に、コーセーの根幹にある真面目で実直な部分、アカデミックな一面をもっと知ってほしかった。そのため、CMだけを流すのではなく、美容情報を発信する番組仕立ての映像コンテンツを作ろうと思いました。はじめはかなり博学的な内容を考えていたのですが、東京メトロ利用者の客層を加味して、“得する・ためになる美容情報”を発信する今のコンテンツへと形を変えました。

立ち上げ当初の番組名は「美人のヒミツ!」。 放映開始の4月は紫外線量が増える時期であることから、第一話は「UVケア」を紹介しました。

―全く新しい媒体での挑戦でしたが、立ち上げ時の苦労はどのようなものだったのでしょうか?

丸山  この映像コンテンツが本当に機能するのか、費用対効果はどうなのかを数字で語り、周囲を納得させなければならなかったことは大変でした。テレビCMのような既存の広告なら指標がありますが、新しい媒体では基礎となる数字から自分で作り上げなければならないからです。しかし、それが一番面白かった部分でもありますね。私は昔から「0から1を生み出す」ことが好きで、新しいことを企画することにやりがいを感じるタイプなんです。逆に、1を10まで育てたり、10を100まで安定的に伸ばしたりすることの方が、実はとても難しいことだと思います。

 

1を100に育てるバトンリレー。“20秒”に込める想いとこだわり

―では、その1を100まで伸ばしている現担当者に、制作の裏側を聞いていきます。今は「KOSÉ Beauty Days」という美容総合コンテンツとして発信していると思うのですが、どのように制作しているのでしょうか?

大竹  まずは、外部の制作会社や当社のメイクアップアーティストと企画案を練るところからスタートします。「スキンケア」「メイクアップ」「ライフスタイル」の3本立てで構成していて、それぞれのカテゴリーから、その時期のトレンドやニーズに沿った企画を考えます。その後、使用するアイテムや法律に基づいた表現の確認を行い、字コンテ(カメラワーク、演出、カット割りなどを文字で記述した設計図)を作成。事前打ち合わせでは、モデルの動作一つひとつを確認し、演出の細かい部分まで案を練っていきます。1回の撮影で約2か月分のコンテンツを撮っていて、撮影時間は丸1日かかることが多いです。撮影後は、文字や映像に誤りがないか細かく確認し、適切な情報をお届けできるよう細心の注意を払っています。
実は1週間に1回のペースで、動画が変わっていることをご存知ですか・・・?1本20秒の映像コンテンツを制作するのに約2か月かかるのですが、日常的に目に触れるコンテンツだからこそ、日々ワクワク楽しみながら見ていただきたくて・・・工夫を凝らしながらテーマを変えて様々なコンテンツを制作しています。

―コンテンツを制作するうえで、お客さまにどのようなことを伝えたいと心がけていますか?

小居  単なる商品紹介にとどまらず、日頃の生活の中ですぐに実践できる、プラスαの情報を届けることを大切にしています。移動中のふとした隙間時間に、「あ、これいいかも!」と思わず目が留まってしまうような、有益な情報を提供することで、お客さまの“美”に対するモチベーションを高められたら嬉しいですね。動画をきっかけに、実際に店舗へ足を運んでいただいたり、商品に触れていただいたり、お客さまの日常を少しでも彩るお手伝いができればこれ以上の喜びはありません・・・!

―「東京メトロビジョン」ならではの、制作の苦労やこだわりはありますか?

大竹  一番大変なのは、音声のない「東京メトロビジョン」において、“20秒”という限られた時間の中で、「視覚的な分かりやすさ」と「必要な情報量」の黄金比を見つけることです。テロップのサイズや表示タイミング一つで伝わり方が劇的に変わるため、コンマ数秒単位の調整を繰り返しています。
こだわっている点は、「正しい使用量」や「効果的な使い方」を一目で分かるよう伝えること。動画としてきれいな映像を撮るというよりは、日常での見え方と近い動画に仕上げたくて、質感やスキンケアが肌へなじんでいく様子などリアルなディテールを極限まで追求しています。

―これまで制作されてきた中で、個人的に一番思い入れのあるコンテンツはありますか?

大竹  今期放映中のフレーム映像(美容情報の前後に流れる動画。現在は、当社ブランドのミューズを務めている今田美桜さんが出演)ですね。担当になって初めてゼロから企画・制作に携わったもので、毎年行っている「KOSÉ Beauty Days」の認知調査結果を徹底的に分析し、より印象に残りやすいよう工夫を凝らしました。今回は春夏秋冬でパターンの色を変え、ファンデーションやポイントメイクなど実際の商品を映像のトーンに落とし込みました。モノクロの今田さんに、メイクアップの色が徐々に振りかかって色づいていくような演出は、様々な方々に気に入っていただけて、とても思い入れ深いです。個人的に気に入っている演出は、コーセーロゴの“O”の中から今田さんがひょっこりと顔を出す部分と、今田さんがくるくる回るところを上のアングルから撮影した部分。「KOSÉ Beauty Days」はYouTubeでも配信しているので、ぜひチェックしてみてください!


小居  私は、最近撮影したメンズメイク企画がとても印象に残っています。普段セルフメイクをされない男性モデルの方にご出演いただいたのですが、最初は少し戸惑いながらも、一つひとつ丁寧に取り組んでくださる姿がとても印象的でした。だからこそ、「やったことはないけれどメイクが気になる」という男性の方々にとって、共感しやすい動画に仕上がったのではないかと感じています。行き交う様々な人の目に触れる「東京メトロビジョン」でこうしたHow toを発信することで、そういった男性に挑戦してみようと思えるきっかけを届けることができたと感じ、「KOSÉ Beauty Days」の新たな価値に気づくことができました。

 

「東京メトロビジョン」から広がる未来と、これからの挑戦

―「KOSÉ Beauty Days」に携わる中で感じる、“コーセーらしさ”とは何でしょうか?

小居  メンズメイクや子ども向けのスキンケアHow toを紹介するなど、“大人の女性”などといった特定の層だけでなく、幅広い方々に美の情報を伝えようとする姿勢がコーセーらしいです。当社の活動方針「美を通じて世界に寄り添い、一人ひとりの生涯を彩る」を体現していると思うので、これからもあらゆる人々の日常に寄り添う姿勢を忘れず、動画を制作していきたいです。
大竹  枠にとらわれない「美の多様性」の表現に、コーセーらしさを感じますね。例えば、女性モデルだけでなく、ブレイクダンサーのShigekix選手や、当社が運営しているDリーグ唯一のブレイキンチーム「KOSÉ 8ROCKS」に所属している選手を起用したコンテンツなど、スポーツ振興を通じて培ってきた「健康的でアクティブな美」をダイレクトに表現できる点は、他社にはない独自の強みだと実感しています。

―今後、「KOSÉ Beauty Days」を通じて、どのようなことを発信していきたいですか?

小居  今後はより一層、季節ごとのトレンドに合わせた提案や、肌悩みやライフスタイルの変化に寄り添って、「ちょうど、これが知りたかった!」と共感いただけるようなコンテンツを追求していきたいです。地下鉄という多様な人々が行き交う空間だからこそ、誰もが自分事として受け取れるような情報を発信したいです。丸山さんが“コーセーの企業姿勢を伝えるために「東京メトロビジョン」をはじめた”とおっしゃっていましたが、まさにこの一人ひとりに寄り添う姿勢を忘れずコンテンツを作り続けることが、「コーセーらしさ」を伝えることに直結すると思います。
加えて、前後に放映している商品広告との連動性もさらに強化していきたいポイントですね。「KOSÉ Beauty Days」でビューティに興味を持っていただき、さらにその前後の商品広告でブランドの世界観に浸っていただく。そんな一連の流れを作ることで、より連動性のある面の広告展開を生み出していきたいです。

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