コーセーの目指す地球環境との共存 ~人と地球が、美しく存在し続けるために~ 2026.06.30
私たちが生み出す化粧品は、人々の肌に直接使うことで健やかに保ち、そして外観を美しく彩るだけでなく、心の豊かさや自信、活力をもたらす存在です。しかし、その美しさは決して人の力だけで完結するものではありません。清らかな水、大地が育む植物から作られた原材料など、化粧品は豊かな自然から多くの恩恵を受けています。
今、世界は気候変動や海洋プラスチック問題など、地球規模の環境課題に直面しており、企業が社会の一員として環境負荷の低減に取り組むことは、当然の責務となりました。コーセーは、これまで自然への深い感謝のもと、地球環境を守る独自の活動を地道に続けてきました。遡ること35年前、1991年に掲げた「美しい知恵 人へ、地球へ。」という企業メッセージは、その象徴です。美の創造企業として、人々のためだけでなく、大切な地球の未来のためにも私たちの知恵を役立てていくという誓いを込めた言葉です。事業活動におけるCO2排出量削減などの環境負荷低減はもちろん、沖縄のサンゴ礁を守る活動などを展開する雪肌精「SAVE the BLUE」をはじめとする独自の環境保全活動にも力を注いできました。
今回は、コーセーのDNAの重要な一部である「地球環境」に関する考えと取り組みについて、その歴史を紐解きながらご紹介します。
環境対応の歴史と体制構築
コーセーが地球環境保全に向けた組織的な歩みを本格化させたのは、1990年代のことです。1991年に「美しい知恵 人へ、地球へ。」のメッセージを掲げた後、世界中が環境問題に目を向ける転換点となった地球温暖化防止京都会議(COP3)の開催された1997年には、コーセーとしての「地球環境委員会」の発足と「環境基本方針」を定め、全社の地球環境への対応のための体制構築を進めました。
環境問題がより複雑化し、企業の社会的責任(CSR)の重要性が増すなか、2013年には「CSR委員会」を発足させ、より経営と一体化した推進体制を整えました。さらに、世界がSDGsの達成に向けて動き出す中、2017年に国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」に署名し、持続可能な社会の実現を目指した取り組みを推進することで、2020年には、コーセーグループが取り組むべき社会・環境課題を整理し、2030年までの目標と戦略を掲げた「コーセー サステナビリティ プラン」を策定・公開しました。このプランは、事業戦略とより密接に連動させるため、2024年に掲げた中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty PartnerーMilestone2030」における「サステナビリティ戦略」へと位置づけを変え、人と地球に寄り添う、より豊かな未来へと導くためのコーセーグループの活動の中核となっています。
そしてこの戦略のテーマの一つである「地球に寄り添う」という考えのもと、コーセーグループにとっての重要課題を設定し、その中で、サンゴや森林の保全・回復に関する活動推進とあわせ、CO2排出の削減、適切なプラスチック使用や廃棄物管理などの、2030年目標を設定しています。さらに本年7月の南アルプス工場の稼働を契機に、新たに水保全に関する啓発人数や水源涵養の取り組み件数などを目標に加え、「水」を軸にした環境戦略を強化しています。

2026年4月にアップデートした「サステナビリティ戦略」
こういった背景や目指す道筋を見すえ、コーセーグループでは環境の保全から負荷低減まで様々な活動を進めています。その一例をご紹介します。
環境保全活動①:18年目を迎えた雪肌精「SAVE the BLUE」
コーセーの環境保全活動を語る上で欠かせないのが、雪肌精「SAVE the BLUE Ocean Project」です。青く美しい地球を未来へつなげるため、2009年の夏に、沖縄の海から始まったこの活動は、沖縄県読谷村でサンゴ再生事業を手掛ける、「海の種」の代表・金城 浩二氏と共に取り組み、今年で18年目を迎えました。

雪肌精「SAVE the BLUE Ocean Project」
沖縄の海には世界有数のサンゴ礁が広がっていますが、地球温暖化による海水温の上昇などで、サンゴ礁の白化に直面しています。この現状を前に、スキンケアブランド『雪肌精』では、夏のキャンペーン期間中に対象商品の購入が、容器ボトルの底面積に相当する広さの海に、高温耐性をもったサンゴの苗を植え付ける費用として、寄付につながる仕組みを作りました。お客さまが美しくなるための購買行動が、地球を美しくすることにつながるこの取り組みは、多くの共感を集め、2025年までに植え付けられたサンゴの総面積は、25メートル公認プール約35面分※にも匹敵します。植え付けたサンゴが成長しやがて産卵することで、新たな命をつなぐ様子も確認されるなど、海の中には豊かなサンゴの森が広がっています。
このプロジェクトでは「サンゴ留学」と称して、当社のビューティコンサルタントが、養殖サンゴの株分け体験やビーチクリーン活動などに取り組んでいます。自らの手で環境保全を体験したスタッフは、その感動と自然の大切さを、店頭でお客さまへ自分の言葉で伝えます。一人ひとりの環境への気づきと行動の連鎖が、環境を想う輪を広げているのです。
活動は海から陸へ、そして世界へと広がっています。2022年の冬季からは雪肌精「SAVE the BLUE Snow Project」として、長野県の山岳リゾート「Hakuba Valley」で使用される電力を再生可能エネルギーへ切り替える支援をすることで、雪を守るための気候変動対策に取り組んでいます。海外には、2011年から活動を拡大し、現在では、9つの国と地域(中国・香港・台湾・韓国・タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・アメリカ)においてサンゴ保全や植樹活動など、各エリアの独自性を活かしながら展開しています。
※累計本数は、毎年対象商品の販売実績を底面積に換算し、実際に植え付けをした面積・本数。自然界のサンゴの成長には環境によるバラツキがあり現在の総面積・本数とは異なる場合があります。
独自の環境保全活動②:各ブランドの想いを体現する活動
自然の恵みへの恩返しは、様々なブランドにも浸透しています。
コーセーコスメポートが展開するボタニカルヘアケアブランド「サロンスタイル ビオリス」では、2022年から「BIOLISS PEACEFUL GREEN」プロジェクトの一環として植樹活動を始動しました。天然・植物由来成分などの自然の恵みから生まれたビオリスとして、その源でもある森林を保全していくことが、これからの豊かな地球を守ることにつながるとの考えのもと、環境保全活動を継続しています。これまで山梨県笛吹市(2022年・2023年)、神奈川県横須賀市(2024年)、栃木県日光市足尾町(2025年・2026年)にて活動を行い、成果としては、植樹総面積:約3,400㎡、二酸化炭素吸収量:約900㎏(令和4年のやまなしの森づくりCO2吸収証書をもとに算出)にのぼり、今後も活動を継続していく予定です。

「BIOLISS PEACEFUL GREEN」プロジェクト 日光市足尾町の様子
また、コーセーを代表するハイプレステージブランド「コスメデコルテ」においても、自然環境の保護に配慮した取り組みを進めています。2024年9月には、商品の原料産地における自然保護と地域創生を目指す「DECORTÉ Sustainable Ingredients Project」を立ち上げました。その第一弾が、ブランドを象徴するシリーズ「AQ」の原料である「白樺水」の産地、北海道美深町を支援する「DECORTÉ白樺の森プロジェクト」です。美深町の町有林で植樹や間伐などの森林管理を支援し、地球温暖化防止に貢献するとともに、森林教育や観光支援などを通じて地域創生にも寄与しています。将来的には、この森で採取した白樺樹液で商品を作り、原料づくりから販売まで一貫した持続可能なサイクルを築くことを目指しています。
このように、それぞれのブランドが考える自然への敬意や恩返しといった想いを形にする手段の一つとして、コーセーでは保全活動を積極的に推進しています。化粧品づくりに欠かすことのできない自然の恵みを守り育みつづける保全活動を、海にも陸にも広く展開していくことが私たちの使命だと考えています。
独自の環境保全活動③:花王とのサステナビリティ協働
地球規模の環境課題は、一企業だけの力で解決できるものではありません。コーセーは業界の垣根を越えた「共創」によるサステナビリティの推進にも積極的に取り組んでいます。その象徴的な例が、花王株式会社との協働です。
コーセーと花王は、2022年に化粧品事業のサステナビリティ領域において包括的に協働の取り組みを開始しました。「メイクアップ化粧品の再生利用」と「化粧品プラスチック容器の水平リサイクル」の二つをテーマに設定し、互いの知見やリソースを活かし、これまで様々な活動を進めています。
「メイクアップ化粧品の再生利用」では、株式会社モーンガータの協力のもと、研究所における品質追求・品質管理の過程で、最終的に商品にならなかったメイクアップ化粧品を絵具や印刷用インキへとアップサイクルし、両者のブランドや店舗、イベント等で、お客さまに楽しみながら環境配慮や資源循環を知っていただく機会を設けてきました。2024年には、アップサイクルしたボールペン(SminkArtペン)を用いた、多摩美術大学の学生に向けたデザインコンテスト「Makeup Art Pen Award 2024」を開催し、化粧品由来の独特な風合いを持つペンでの作品づくりや、その展示を介して、学生や一般の方への啓発の機会とすることができました。
「化粧品プラスチック容器の水平リサイクル」では、2025年10月よりイオンリテール株式会社との3社協働で、東京都、埼玉県、千葉県のイオン約70店舗内で展開するコーセーと花王ソフィーナ、カネボウ化粧品の各売り場に回収ボックスを設置し、お客さまに持参いただいた使用済み化粧品プラスチック容器を回収しています。化粧品容器のリサイクルの社会実装にむけた取り組みを通して、競合という立場を超えて互いの知見と技術を共有することで、資源循環社会への歩みを進めています。

花王とのサステナビリティ協働でイオン店舗に設置している容器回収ボックス
この協働の土台には、豊かな地球環境と人々の暮らしを次世代へ引き継ぐという共通の使命感があります。両者が力を合わせ、持続可能な地球と社会の実現に向けた取り組みを今後も進めていきます。
南アルプス工場:豊かな自然と水との共生を目指す新生産拠点
こうした自然との共生や環境負荷低減の理念は、2026年7月稼働の新たなモノづくりの拠点である南アルプス工場にも色濃く反映されています。
南アルプス工場は、「恵まれた自然との共生を目指す工場づくり」を最大のコンセプトに掲げています。化粧品製造において「水」は極めて重要な原料であり、狭山工場や群馬工場の用地を選定する際にも大切にしてきた要素です。「工場探しは水源探し」であるという考えのもと、多くの候補地の中から、美しく豊かな自然と、澄み切った豊かな水資源を有する山梨県南アルプス市を新たな生産拠点の地に選定しました。この化粧品の命とも言える「水」の恩恵を受け、地球環境を大切にするサステナブルな工場として稼働していきます。山梨県産の「グリーン水素」や、県営水力発電によるCO2フリー電力など、環境負荷の低いとされる水資源由来のエネルギーを活用。太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーの導入、高度な水処理設備による水資源の循環利用、廃棄物の最小化など、生産活動に伴う環境負荷を極限まで低減する最新の設備を備えています。
南アルプス工場は、単に化粧品を製造する場所にとどまりません。コーセーが未来の地球環境とどう向き合い、どのように美しいモノづくりを行っていくのかを示す、当社の事業活動を象徴する拠点です。

2026年7月稼働 南アルプス工場
環境負荷低減の取り組み
このようなブランドや拠点での取り組みを拡げるとともに、コーセーグループ全体の環境負荷低減を目指した取り組みもあります。サステナビリティ戦略では、CO2排出量の削減、プラスチック容器包装の環境配慮設計、責任ある水資源使用などの項目の2030年目標を設定し、全国の拠点や各ブランドの活動に落とし込むことで、グループ全体の推進につなげています。
特にCO2排出量の削減については、異常気象や猛暑などの要因とされる気候変動対策として喫緊の課題であり、2030年までのScope1・2 およびScope3の排出削減目標に加え、2040年までにカーボンニュートラル達成(Scope1・2)、2050年までにネットゼロ達成(Scope1・2・3)を目指した、コーセーグループ独自の「低炭素移行計画」を策定し、公開しています(SBT認定取得済み)。水資源については、生産拠点における水管理状況の管理徹底や、2030年を照準とする水使用量の削減目標の設定、さらには「全国水環境マップ実行委員会」が実施する全国水環境調査に、工場周辺の河川域の水質調査で協力するなど、地域社会全体での水環境の維持・改善を目指した取り組みを行っています。
こうした企業としての取り組みは、社会からも高く評価されており、国際的な非政府組織(NGO)であるCDPが実施した2025年の環境情報開示において、「気候変動」および「水セキュリティ」の2分野で最高評価の「Aリスト企業」に選定されました。コーセーのダブルA獲得は4年連続であり、「気候変動」は6年連続、「水セキュリティ」は4年連続の選定です。社会からの評価も力に変え、これからも美しい地球環境を守り抜き、持続可能な未来に向けた活動を推進します。
人と、地球が美しく存在し続けるために
「正しきことに従う心」。これは創業者の小林孝三郎が生涯にわたって大切にし、今もコーセーの根幹に息づく企業精神です。お客さまに誠実に向き合うことはもちろん、私たちが生きる社会や地球環境に対しても常に誠実でありたいという想いが込められています。
化粧品には、人の心を明るくし、人生を豊かに彩る力があります。しかし、その美しさは決して人々の力だけで生み出せるものではなく、この地球が育む、健やかで豊かな自然環境があってこそ存在し得るものです。
1991年に私たちが発信した「美しい知恵 人へ、地球へ。」というメッセージは、時代が移り変わり、社会が大きく変化する中で、より一層、重要性を増しています。サンゴの海を守り、森を育て、資源を無駄なく循環させ、地域の環境と共生する。一つひとつの活動は小さな一歩かもしれませんが、私たちが知恵を出し合い、お客さまや社会の皆さまと手を携えることで、その歩みは確実に大きな力へと変わっていきます。
世界中の一人ひとりが、いつまでも自分らしい美しさを楽しむことができるように。そして、私たちに計り知れない恩恵を与えてくれる、かけがえのない青い地球が、未来永劫にわたって美しく存在し続けるために、コーセーはこれからも、美の創造企業としての責任と誇りを胸に、挑戦と前進を続けていきます。